漆黒の鷹 で遊びませんか漆黒の鷹

ちょこっと息抜き サイトに来てくださった皆様への感謝の気持ちです

診断メーカーで「漆黒の鷹」メンバーの名前を入れてあそんでいたらこんな結果が出ました。

@ヤンデレな漆黒の鷹 A人気者の漆黒の鷹 Bメイド服の漆黒の鷹 C中身が違う漆黒の鷹 D照れてる漆黒の鷹 貴方ならどれを選ぶ!?
@クレイジーな高市 A良くも悪くも普通の高市 Bギャルな高市 Cホモッ気ありな高市 D可愛い高市 貴方ならどれを選ぶ!?
@頑張り屋な十市 A天才な十市 Bブレザーの十市 C年老いた十市 Dアヘ顔な十市 貴方ならどれを選ぶ!?

これをお友達がショートショートにしようと提案してくれたので、ついその気になって書いてしまいました。
これだけのお題を全部使うことは出来るのか?(どきどき)
もしも三人が現代にいたら、という設定なのでパラレル物が苦手な方は申し訳ありませんがお戻りくださいませ。




***

「お待たせ、桃ちゃん。やっと終わりました」
 十市は紺のブレザーとチェックのスカートの制服姿に戻って、教室のドアで待っていてくれた桃ちゃんの所まで走って行った。やはり制服姿がいい。戻ると気が引き締まる。
「あれえ、戻っちゃったの。残念。凄く可愛かったのに」
「恥ずかしいよ。あんな格好で遊びに行けません」
 胸元の赤いリボンを結び直しながら、十市は桃ちゃんに抗議する。桃ちゃんはあの格好をなぜか気に入ってくれている。それは嬉しいけれど、十市は出来るだけ早く脱いでしまいたかった。当番の間どれだけ恥ずかしかったか。ご指名がかかる度に、お客様の視線を感じる度に、もうどこかに消えてしまいたい気持ちがふくれあがって大変だったのだから。
 今日の文化祭で十市たちのクラスは「大正浪漫カフエー」をしているのだ。当番に当たった子はみんな絣の着物に白いフリルのエプロンを着けるのが決まり。女給さんスタイルは可愛いけれど、人目にさらされるのは疲れる。明日もあるなんてげんなりしてしまう。
 桃ちゃんは十市の赤い眼鏡を「はい」と渡してくれた。
「はい、返してあげる。また明日もよろしくね」
「ありがと。ねえ、本当に眼鏡かけちゃだめなの? とても不安なんだけど」
「伊達眼鏡なんでしょ、我慢しなさい。十市のおかげで今のところ売り上げ一位独走中なんだから。みんな十市を見に来てたようなものよ」
「何を言うのよ。亜佳音さんだって、はるかさんだって素敵だったじゃないの。私のおかげなんかじゃないわよ。それに桃ちゃん、いろんなところで言いふらしたでしょう。桃子さんに聞いてやってきました、ってお客さんが多くて困ったんだから」
 十市は眼鏡をかける。これがないと落ち着かない。だってこれは「お母様がいない」と泣く十市に、鷹が持ってきてくれた物。「お母様が昔かけていた眼鏡だよ」といって、十市が泣き止むまで抱き締めて頭を撫でてくれたのだ。それで十市は鷹と暮らしていくことにしたのだから。
「十市は可愛いのだからもっと自信を持つべきよ、眼鏡かけて引っ込んでないで。ご指名料を払っても十市がいい、って男の子が群がってたじゃないの。男子部の生徒会長までが来たのにはびっくりしたけど」
 十市たちの高校は女子部と男子部に別れていて、普段はほとんど接点がない。運動系クラブの人たちは交流があるみたいだけど、絵画部の十市はまるきり女子校に入ったような気分でいる。引っ込み思案を自認している十市にはありがたい。それでも年に二回、文化祭と体育祭の時だけは合同開催しなくてはならないことになっている。
 桃ちゃんは女子部の生徒会員なので、あちらの生徒会長のこともよく知っていて時々教えてくれる。人当たりが良くソフトな口調で、もちろんとてもハンサム。文武両道でもあるらしい。けれど桃ちゃんによると中身は超クールなのだとか。一度だけ見たことあるのよ、室内気温が一気に氷点下まで下がったわ、と言っていたっけ。
「どうなの。何か話しかけられていたじゃない、大友会長に。つきあってくださいとか言われたの?」
「そんなわけありません。大正時代の雰囲気が良く出ているね、って褒めてくださっただけよ」
 確かに大友会長に話しかけられたけれど、何を話したのだか良く覚えていない。次々に注文が来るからそれでてんてこ舞いだったのだから。いきなり腕を掴まれたときには心臓が止まるかと思ったけれど。あれには誰も気づかなかったみたいでよかった。あやうく、レモンスカッシュをこぼすところだった。
「まあいいわ。それより今日はもうお店はないでしょ。舞台の方に行ってみない? ちょうど二年男子のライブが始まるみたいよ」
 二年男子と言われてどきっとした。今朝、鷹にからかわれていたときの高市はおもしろかった。顔を赤らめて「絶対来るな。締め切り落とすぞ」って叫んで飛び出していったのだ、ご飯も食べずに。
 高市もライブに出るのかしら、何をするのと聞いても「何もしない」とだけしか答えてくれなかったけれど。
 高市もご両親がいないので遠縁の鷹の所に引き取られてきたのだ。それ以来十市たちは三人で助け合って暮らしている。全員名字が違うので、お互い下の名前で呼び合うのが決まり。
 鷹は実はベストセラーの推理小説作家なのだ。でも覆面作家として、女性だか男性だかもわからないようなペンネームをつけているので誰も気づかない。十市たちも鷹の職業のことは言わないようにと言われている。
 十市は本棚にある鷹の本を読んでみたことがある。女郎蜘蛛のような女の人に生きながら絡め取られていく男の人の話で、とても怖かった。あれ以来、鷹の本には手を出さないようにしている。まあそれは置いておくとして、三人は結構上手くやっているのではないだろうか。
 三人で住んでいることはあまりみんなに知られてはいない。友達で知っているのは桃ちゃんくらい。あまり目立たない十市だから、みんなも興味ないのかもしれない。
「また何か考え込んでる。考え込んでばかりいないで行動あるのみよ。さ、体育館のライブに行くわよ。生徒会特権を行使して桟敷席で見せてあげる」
 こうやって桃ちゃんは、すぐ迷路に入って動けなくなってしまう十市を上手く引っ張ってくれる。それと気づかせない優しさで。
 ありがとう桃ちゃん。なんだか温かい気持ちに包まれて、十市は桃ちゃんの後を追って体育館に急いだ。

 体育館ではもうライブが始まっていた。隅から潜り込んで端っこの方で見せてもらう。といっても審査員席の隣だから出演者の顔はよく見える。「いい席でしょ」と桃ちゃんがにやっとするので、「あとでジュースおごるね」と十市も笑った。
 舞台では漫才が終わったばかり。特技のある人たちが思い思いの演技で競い合う形のようだ。
 高市はどこかにいるのかしら、それとも裏方に徹しているのかな、などと考えていたとき、次に出てきた演技者をみて息をのんだ。

 舞台袖からひょこひょこ歩いてきた男子は、女子部とお揃いの校章ワッペンのついたブレザーを、肘の辺りまで無造作にうでまくりしている。下は制服ではなくて細身のジーンズ。頭に麦わらのパナマ帽のようなものを深くあみだにかぶっている。それで顔の半分が隠れているけれど、見えている方にはハワイアンのような派手な花を挿していた。化粧も綺麗に施しているようだ。片耳だけに大きなぶら下がるイヤリングが光っている。高市だった。
 思わず息を飲んでいると隣で桃ちゃんがささやいた。
「あのイカシた男子は、高市君?」
 舞台での高市の変貌ぶりに、十市が声を出すことができずにうなずくと、桃ちゃんは一言「すごいねえ」といってまた舞台に戻った。十市の目はもう舞台に釘付けだ。
 前奏が終わって歌が始まった。高市はいきなりスタンドマイクに両手を絡めるようにして歌い出す。その仕草をみて十市の全身に震えが走った。落とした腰を軽く左右に振ってリズムをとっているだけなのだが、観客席からもため息が聞こえた。
「……男のくせに、色っぽいわねえ」
 桃ちゃんが溜息のようにささやく。
 まだ声が出てこない十市は、首をブンブンと「同意です」の印に振って見せるだけだった。
 十市は声にならない声で叫んでいた。
(高市、いったいどうしたのっ)

いかがでしたか? こんなコトしてないでさっさと本編を書き上げてしまえ! ハイ、その通りでございます。
でも、きっと一部の方には喜んでいただけるはず。一部の方〜、あなたですよ〜!(笑)
この番外編、もっと続きます。サイトにしかあげませんので、こちらまでご足労くださいませ。
続きが書けたときにはまたお声をおかけ致しますゆえ……
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